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南アルプス山行

◆Team Life Jackets 10th Anniversary


チーム・ライフジャケッツも結成以来とうとう10年である。



これなんかも、実は初期のライフジャケッツの写真である。
ちなみに私は撮影者で写っていない。

離島に長期滞在、なんて活動がメインだった初期から、登山という短期集中型の活動に移行していたのだが、ここ2年ほどメンバーの結婚やら子供の誕生やらでまとまった活動はないまま過ぎてしまっていた。

が!結成10年を迎える今年くらいは何かをやらねば、というわけで久々の登山行が計画されたのであった。

実を言うと、昨年も企画はあったのである。
日程までセットされたところで最初は私の仕事の都合で、延期して再設定された日程はYogoちゃんの都合でまずくなり、そうこうしているうちに企画自体が流れてしまっていた。

で、今年も当初は9月の三連休に夏山登山として二泊三日の行程で行くことになっていた。
が、三連休にちょうど台風が日本に接近。
上陸こそしなかったものの、前線を刺激して強風と大雨のおそれ、ということでまたもや延期になってしまったのである。

次に候補として上がったのは10月二週目の三連休。
しかし、こちらは私の同期の結婚式の二次会が初日に予定されていた。
別日程でフルの二泊三日は難しいと言うことで、次善の策で夜移動で早朝入山の一泊三日という行程が発案された。

しかし、これまた予約を要する小屋が連休ということもあっていっぱいだったり、行程的にかなりの道のりになってしまって、われわれのブランクや天候不順の場合などに不安を感じるプランになってしまったり、なかなかしっくりくる計画を定めきらずにいた。
おまけに上陸しなかったもののまたもや台風が発生、それも同時に二個!なんてこともあった。

そうこうしているうちに日にちは近づいてしまい、どうしたものかと考えあぐねたところで原点に帰るひらめきである。
”お気楽&行き当たりばったり”
みっちり活動しなければならないような行程の組み方自体、ライフジャケッツのあり方にそぐわないものだという考えに行き着いたのである。

結果。
「一応前夜のうちに移動」
「それぞれ気が向いたときに出発」
「現地バス停そばの駐車場集合」
「遅くとも10時頃の登山口へのバスに乗る」
「今回の目標は仙丈ケ岳の登頂に絞る」
「あとは雰囲気と体力とノリ次第」
というムーバブルなプランが出来上がり、その日を迎えることになった。

(続く)



◆南アルプス山行(1)

というわけで10周年を迎えたライフジャケッツの企画は南アルプスは仙丈ケ岳への登山ということになった。

仙丈ケ岳は南アルプスの北部に位置する3033mの山で、今は2000mの峠までバスで入れるため一泊二日程度でも普通に登れる。

行程としても峠から頂上まで標準で4〜5時間程度でそれほど難度の高い場所もないため、登山としてはお気楽なものである。

とはいえ、10月ともなれば南アルプスでも初雪が見られるシーズンである。
特別に冷え込むという予報はなかったが、ふもとの気温が10度くらいまで下がるということだったので、山上では一桁前半、風が強ければ体感気温はマイナスであろうと予想された。

登山が楽な行程なのだから、せめて朝早く起きて夜明けの風景でも見るか、とすると防寒はそれなりに必要だな、というのは数少ないコンセプトの一つとなった。

結果としては、これは大いに正解であった。

われわれは8日〜9日の行程だったためその日程だけの天気予報に注視していたのだが、それに先立つ7日に低気圧が吹き荒れ、特に北アルプスでは悲惨な遭難を複数引き起こしたブリザードが発生していたのである。

バスを降り立った辺りから山容をのぞむ。



・・・なんか上の方白いし。
そして、頂上へ至る道。


凍っている・・・何もかもが凍っている・・・ 
てな状況だったのである。
そんなわけで、超お気楽秋山登山は、初冠雪の3000mを眺めるダイナミックな山行へと変化していったのであった。


◆南アルプス山行(2)

時は戻って7日の夜。 というか8日の午前4時。

ザックを助手席に放り出して、いざフォーカス発進。

ガソリン無いなあ、と名古屋インターそばのスタンドに寄ったところでETCカードを忘れてきたことに気づく。
いつも何か忘れてる。。orz
まあいいや、と高速をひた走る。

夜明け頃のパーキングエリア。


中央道は、天気さえ良ければ、走って楽しく夜明けや夕方の風景が美しい。

一方で、雨や霧のときはかなり神経を使う。

#自分がまともに走っていても、いつどこからトラックやトレーラーが吹っ飛んでくるかわからない気がする

休憩を交えて2時間ほどで駒ヶ根インターに到着。

まだ夜が明けきっていない。

高遠を通り、いったん集合場所の仙流荘まで行ってみたものの、早朝からやる気満々の登山者の群れを見て、やや萎える。
駐車場も人の出入りが激しくて落ち着かなさそうだったので、来る途中で見かけた道の駅まで引き返し、朝ご飯を食べながらYogoちゃんの到着を待つことにした。
一時間ほどで無事合流。
明け方にはバス乗り場に到着していたのに、結局乗るバスは10時というスロースタートっぷり。
うーむ、ライフジャケッツ。
北沢峠まで1時間ほど。退屈な移動かと思っていたら、このバスだけでプチ観光が成立するくらいガイドが充実していた。
左右に見える風景やら山やら花やら、多彩な話を聞くことができた。

登山口にとりつき、最初はゆっくりとしたペースで歩き始める。
周囲を見渡せば、紅葉の木もちらほらあって、なかなかいい気分であった。


◆南アルプス山行(3)

南アルプスは普段から湧き水の多いところだが、前日までの雨のせいでそこらじゅうに小さな沢ができていた。
ここは苔も生えていたので常時流れがあるみたいだが。
ちなみに、翌日下山する頃にはこのルートは凍結・積雪のため通行禁止となっていた。。。
しばらく上がっていくと、仙丈ケ岳の上部が見えてきた。

紅葉が混じる木々の向こうに、白い森が見える。

一面樹氷だよ・・・
尾根沿いに出たところで冷たい風が谷から吹き上げるようになり、上着を着込む。
指先もかじかんできたので、グローブも装着。
山気分が出てきた、というか結構しんどい。


息を荒げながら宿泊予定の馬の背ヒュッテに着いたのは午後1時半。

ここから頂上まで標準タイムで1時間半。
当初の予定では、翌朝に頂上でご来光でも見るか、という話だったため無理に登頂する必要性は薄い。
が、荷物を山小屋に置いて軽装で動けば1時間もあれば行けるだろう。
このまま日が暮れるまで何も無い小屋で過ごすのも退屈だし、行くか!と例によって行き当たりばったりの我々である。

ダブルストックにわずかな荷物を持って軽快に斜面を蹴って進む。進む。進む、、、って。息切れる。
さすがに3000m近くになってくると、空気の薄さを実感する。

足腰の筋肉はそれほど疲れていないのに、なぜだか体がちっとも動かないのである。
偏頭痛のように頭の片隅が痛み、ゆっくりとしか動いていないのに呼吸だけが速い。いつのまにか吐く息も白く、視界のそこらじゅうにに凍り付いたものが見える。


お互いの写真を撮ってみたり。
尾根と頂上を見ながらよろよろと足を進めていくうち、ようやく頂上直下の仙丈小屋まで辿り着く。
この小屋はカールの只中にあり、北の谷から吹き上げる寒風をまともに受ける位置にある。
小屋の脇に温度計があった。

快晴の午後2時台にして、気温マイナス5度。

何もかも凍りついてるわけだ・・・

◆南アルプス山行(4)
凍て付いた建物を後に、凍れる岩山に踏み込む。

水分はみな凍りついて結晶化しているので、足元の石もカラ・・・カラ・・と乾いた音を立てる。
文字通りのフリーズドライか。


空気の薄いのと頂上近くで風が吹いているので、いろいろな感覚が非日常的になってくる。
そして登頂。


富士山が見えていた。
登りきるのはもちろん喜びの一つだが、それは無数のそこに至るステップの流れの中でこそ、である。

人工物ではとうてい構築できない、とんでもないサイズの立体構造の中を抜けていく感覚、説明するのは難しいな。

下りは早いものである。
ダブルストックでやや急な下りを行くときは、モーグルの動きを思い出す。
ストックで方向転換のきっかけを作り、足は一瞬一瞬をざ、ざ、とかすめるだけ。空中で姿勢を変えるし、浮いていると判っている石でも普通に足を載せられる。
ダブルストックが可能にするステップは、一歩一歩を踏みしめて荷重を確認しながら進める登山の歩き方とは全く違う動作である。
見ていた山小屋のおやじが「上半身がふらつきすぎて危ない」「歩き方がなってない」、と説教してきた。
クラシカルな登山の足の進め方みたいな静的な安定以外にも、フリークライミングとかで使うような動的な安定があるということを説明したい衝動に駆られたが、他人の話を聞くようなキャラではなさそうだったので聞き流しておいた。
馬の背ヒュッテに戻り、夕食のカツカレーを平らげる。
食後にちょこちょこと焼酎を飲んでいたが、高山病で頭の痛みがひどく、早々に寝床に入ることに。

壁際の場所をあてがわれた事もあり、最初はかなり寒かった。
まともなシュラフを持ってきたのも正解だったようだ。
朝早く目を覚ましたものの、二者協議の結果、夜明けを見るのは断念。
二度寝を決め込む。(ヲイ

例によってゆったりと朝ご飯を食べ、出発したのは7時を回っていた。。。

朝の甲斐駒ケ岳。

◆南アルプス山行(結)

翌8日の朝、再び同じルートで仙丈ケ岳へ。
同じルートとはいっても、朝と夕方では光の方向が180°変わるうえに空や空気の感触が全く異なるので、目に入ってくる光景はずいぶん違ってくるのである。
昨日は陰っていてよく見えなかった東側斜面は、実は紅葉の森だった、とか。

尾根に出ると、昨日は雲に覆われていた北アルプスがはっきりと見えた。数日前とは打って変わって、中腹まで真っ白になっている。

あの状態では、昨日の雲の中は本当に冬山状態だっただろう。

絶対に”居たくない”場所である。
南アルプス北部の仙丈ケ岳からは、中央アルプスも一望できる。
月と枝と中央アルプス。

頂上直下のカール。
日陰はまだ凍っている。

朝方の光では、富士山は逆光のシルエットとなる。


溶けては凍る、を繰り返すハイマツの茂み。


そして、森を抜ける道を下っていくと、たった一日の間に色を変えた木々が目に入ってきた。


冷え込みの後に暖かい日が来ると紅葉が進む、と頭ではわかっていたが、ここまで鮮やかに色づくとは驚きであった。

秋晴の空、雪と氷、紅葉、緑と白い石の山肌。
最高の天候と友人に乾杯。

以上、2006年、10年目のライフジャケッツの南アルプス山行でした。

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